トシちゃん。

クマシで安全な国営バスに乗り換えるも、案の定首都近郊になって渋滞に巻き込まれた。終点のアクラに着いた時は夜七時、真っ暗なバスステーションは不気味な喧噪に包まれ怪しい雰囲気を醸し出していた。トロトロの乗り換え場まで荷物係りのガーナ人が手を引いて連れてってくれる。暗闇にゆらめくオレンジの街灯。笑いと叫び声がこだまする。橋を途中まで歩き、川を渡ったのだと気づく。水面が怪しく鈍く光る。着いた先は数えきれないほどバスを超えた、隣のステーションの奥だった。

無事にドミ近くのバス停に到着するとスーパーマーケットがまだやっていた。さっすがアクラ。ドミ生活に必要なトイレットペーパーと朝のパンを買いに飛び込む。アイスクリームコーナーで立ち止まると、一人のオブロニガールが携帯電話で現地語を喋っていた。

「トシちゃん?!なんでここに?」

PCインストラクターの同期隊員だった。おつもオシャレで可愛い、とってもフェミニンな素敵お姉さん。トシちゃんは別の用事でたまたまアクラに上ってきていた。

「さっきバスステーションから親切なおじさんに立派な車で送ってもらっちゃったー。しかも買い物代に40セディももらっちゃったんだけど。どうしよぅ~」さすがはトシちゃん。ショッピングや食料の買い方も半端ナイけど、金は天下の回りもの。お金に執着のない感覚を持つと、流れ流れていつかは返ってくるもの。

翌日はアクラモールで一緒にショッピング。同期で一二を争う浪費家二人が揃うも、不完全燃焼のままタイムアウトを迎える。買い物中、ポップコーンほおばりながら互いに詩の本を探しあう。トシちゃんは生徒にあげる詩の本を、私は作家志望のナナの詩を解読すべく参考書を物色していた。

そのときのとりとめもない会話から、偶然互いに父親を三年前に亡くしていることが判明した。しかもトシちゃんのパパは喉頭がん。食道がんだった父の病状と驚くほど酷似していて、病院通いや治療の進め方、薬も一緒。最後はモルヒネ。こんな身近に同じ体験をしている人がいるなんて。

トシちゃんは英文科を卒業していて、詩が好き。私はナナの詩の行間がどうしても読めず、トシちゃんに教えてもらい一緒に解読していた。人がまばらで静かなドミトリーの夜は、ガールズトークが炸裂した。

トシちゃんは、リゾートビーチを擁するタコラディという街の工業高校でPCの先生として赴任している。工業高校はほぼ男子校。生徒は廊下で歌って踊って、腰パンして怒られて、校長先生をからかうラップを歌ってはまた注意されて、なーんだ日本もガーナも男子校って変わらないんだなぁ。みんな元気で可愛い、素直な子達ばかり。

まだ正式に赴任して一か月、毎日何時間も慣れない授業をこなすトシちゃんは絶対大変なはずなのに、本当に生徒がかわいくて仕方ないようで、それをみじんも感じさせず楽しそうにキラキラ話していた。

いつかトシちゃんみたいな活動が出来たらいいな

<アクラからの帰り道のおまけ。ファンのベルトが外れて、クマシで直しだすドライバー。途中雨が降り出すわ、バスはめっちゃ遅れるは、散々だった>

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