EXILES

ロバート・ハリスのように生きたい。

戦後の日本に生まれたロバート・ハリスこと平柳ススムは横浜のインターナショナルスクールでやんちゃに育ち、高校卒業と同時にユーラシア横断の旅に出る。親切な人に助けられ、友達を作り、恋をして、旅人が集まる宿ではヤバいヒッピー達と戯れ、ギャンブル、薬、修羅場をくぐり抜け人生と宇宙の森羅万象について思いを巡らす。進学後は文学を読み耽り、荒くれ者の祖父とオデュッセウスに自らを重ねる。留学先のアメリカはベトナム戦争の真っ最中。恋人と反戦活動に身を投じ、詩と芸術を愛するボヘミアン生活に浸り、再びアジアに旅に出る。


精神を病み、薬をヤリ、現実世界とは違う世界の存在を知り、バリの神秘に魅せられた彼は、シドニーに念願の本屋を開きつかの間の安住を見出す。作家、詩人、前衛アーティスト、禅僧、ギャンブラー、薬のバイヤー、弁護士…彼に共鳴するあらゆるボヘミアン達が彼の元に集まり人生を高らかに歌い上げる。オーストラリアで離婚、刑務所、自己破産を経験して弟との死別を乗り越え、日本でDJや作家として活躍し、2000年には仲間と大好きなバリ島で再びエグザイル達のためのサロンを開く。


彼の生の目的はただ一つ。楽しく、ハッピーに生きること。


実はこの本と出会ったのは2006年3月、大学の卒業旅行で行ったウズベキスタンでのことだった。街全体が肌色のモスクと見事に調和した歴史都市ブハラ。そこで出会ったある日本人旅行者、彼は大学を休学してユーラシアを横断中だった。「ヒッピーは出会った人と情報や本を交換して旅を続けていく。この本読み終わったからあげるよ。そしたらまた誰かにあげて」


その時はただロバート・ハリスの存在が、生き方が、旅が衝撃的だった。でも…せっかく旅行してるのに遺跡見ないなんてもったいないなぁ…薬をヤルのも精神を患った人の目に映る世界も、当時の私の理解を超えていた。でも3年越しに再会したエグザイルは、まさに私そのものだった。エグザイル、それは"所属する場所を持たない者"


「日々を生きる世界の煩わしさのせいにして、生きる意味を見失ってはいけない」


日本で働いていた時の私は日本社会に窒息していた。いつも自分の場所はここにはないと思っていた。五感の冴えわたる場所にいるときが、一番自分でいられる瞬間だった。それは日本ではないどこかだった。日本を脱出したところで、よそ者には故郷を感じる場所はないとロバート・ハリスは言う。その孤独感は郷里を捨てた者について回る運命なのだろう。人にはそれぞれ生を受けた理由がある。何を為すべきか?人生はその答えを探す、長い長い旅である。

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