アフリカン・ジプシーの恋人3

「…てなワケでさー。」
チラハウスでは、シスターナオミとアクラでの不思議の国遭難事件の
報告を行っていた。
「へー!また面白いことになったね~。」
ナオミは本当にいい性格で、なんでも素直に我が事のように親身に聞いてくれる。
マスター取得のために英国留学準備を一生懸命進めていたナオミは、
確実に合格校を増やしていった。
(オメデトーAFIA NAOMI☆詳しくは彼女のブログをご覧アレ★)

この日も石鹸作りのスケジュールからコミュニティがCBOに登録する手続き、
NGOの植林ワークショップから開発コンサルタントの視察スケジュール、
TEMAの音楽事情から西アフリカを席巻するパンジー率いるPIDGEN MUSIC
お互いの恋愛事情から将来ビジョンを自由奔放に夜が更けるまで語り合った。

ここで初めて、世界初だというピジョン英語のラップミュージカル
COZ OV MON」を鑑賞した。シスターナオミと一緒に。
なぜなら、Macちゃんではディスクを読み込めなかったからだ…トホホ
copyrights/ fukn bois, coz ov moni 
それは本当にミュージカルで、ストーリーに合わせて
最初から最後まで歌って踊っていた。
金の貸し借りで揉めて、近所でフフ食って、ネットカフェでFacebookや
MySpaceをチェックして、クラブで姉ちゃん引っ掛けて、
輩にからまれて…
といったアフリカ大陸ガーナの若者の日常を描いたコメディだった。
どのシーンもセンスのいいアングルや面白いカメラ回しで撮られていた。
何より独特の処理を施された映像が、不思議な世界を創りだしていた。
ALLピジョン英語の歌詞は字幕なしには理解できなかったが、
いい勉強になりそうだった。

元旦KOJO ANTWIのライブ明けにナオミと話し合った、
西アフリカ現代音楽とピジョン英語の相関性。
それがまさか、PIDGEN MUSICが作ったピジョンの映画に出会うとは…
二人でしみじみした。

けどこのディスクはコピー版らしく、映像があまり綺麗じゃなかったし音も飛んでいた。パンジーのスタジオで見たフフのスープや赤の色が妙に生々しかったのは、オリジナルの映像を見ていたからだった。音も全然良かった。

GREEN CARDを聞いてみた。
あまり今のガーナの流行ではない、レゲエ調Hiphopのサウンドが独特な世界を
創りだしていた。
(アフリカンレゲエは根強い人気を誇る。LUCKY DUBE筆頭に
今はなんてったって、TEMA BOYZの電子音を使ったガッツリHiphopが主流だ。
ガーナPOP音楽マニアのSHOKOLAは、もう癖でとことん調べてしまう。
そしたらなんと、Wanlov The Kubolor2008 Ghana Music Awardsの四冠王だった。
Sarkodie2009 GMAの五冠王)
そしてENERGYが気に入っていたHUMAN BEINGは、
2006UNICEFの児童密売のキャンペーンソングだった。
copyright/wanlov the kubolor
 自分のアイデンティティを流浪の民ROMAに持つワンラブ。
彼の創りだすサウンドは、ジプシーの弦楽器やガーナの打楽器を取り入れた、
時代や空間を超えた独創的な世界だった。どこの国にも、宗教にも、民族にも属さない、AFRICAN GYPSY
3月上旬に自分のコンサートをアクラでやった後、
その後テキサスの演奏旅行に出掛けるという。
きっと彼はあのラスターと、巻きスカートと、
トレードマークの裸足で世界中を旅するのだろう。
(Museca...african music site 
My Space... free streaming mp3, pictures & music downloads)
copyright/panji anoff
彼以上に大物であることが伺えたパンジーは、やっぱりただ者ではなかった。
1997年に自身のレーベルPIDGEN MUSICを起ち上げたPANJI ANOFF
毎年ガーナで行われる仏大使館主催High VIBES Festivalの総合監督。
彼はなんと、ガーナ発祥の世界に誇るHip Life音楽のゴッドファーザー、
REGGIE ROCKSTONEを世に送り出した音楽プロデューサーでもあった。
KING AYISOBAも手がけ、ジャンルを超えた音楽制作を生業している。
High VIBESのような従来の枠に捕われない国際的な音楽イベントを手がけ、
ピジョン英語のラップミュージカルという前代未聞の映画監督を務める、
常に新たな音楽と時代を切り開く、希有な天才だった。
「そのPANJI ANOFFが手掛けるPIDGENレーベルのプリンスが、
独自の道を行くアフリカン・ジプシーWANLOV THE KUBOLOR
というのがネットでのもっぱらの評判だった。
(My Space...free streaming mp3, pictures & music downloads)

まだ若く、野心に燃えるTEMAのプロデューサーKORSAH-BROWN
理想は彼のような人物なのだろうか。

自由なクリエーター達がたむろし、創作活動に打ち込むアトリエ…
あっ、と思い出した。
copyright/robert harris
それはROBERT HARRISの本に出てくる本屋兼アトリエEXILESだった。
ROBERT HARRISという存在に出会ったのは、大学四年生のときウズベキスタンを一人旅していたときだった。同じく旅行中の中央大学の不思議な学生君は、自分はヒッピーだといい
中国から中近東を抜けトルコに向かって旅行している途中だった。
「知り合いから旅の途中でもらったんだ。面白いから読んでみ?したらまた次出会った誰かにあげて。」
そう言って、彼はSHOKOLAに一冊の本をくれた。

「エグザイルスEXILES
放浪者という意味のそのタイトルは、ROBERT HARRISの自伝だった。
破天荒なハリスは世界中を旅して回り、オーストラリアに辿り着き、本屋EXILESを開く。その屋根裏には様々なクリエーターがたむろし、詩を歌い、音を奏でて、自然を愛し、社会や規範に縛られず、自由奔放に生きていた。
「ヒッピー」が彼の生き方であり、「ボヘミアン」が彼の信条だった。

SHOKOLAが見たPANJIのアトリエは、ROBERT HARRISの本に出てきた世界だった。
アフリカの地、灼熱のガーナで自由なクリエーター達を見守り育てるパトロンPANJI。
そのアトリエに集い、自由に思い思いの創作に打ち込むWANLOV達。


世界を旅する「ジプシー」がアフリカから歌う音楽は、彼方の「エグザイルス」とも通じ合う、芸術を愛し、自然を敬い、先人と宇宙を思う、誰もが共感し感動する普遍的なメッセージだった。

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